新型コロナウィルスの終息が見え始め、世界各地への渡航、交流が徐々に元の状態にもどりつつあります。
さあ、準備をはじめましょう。

日本人が海外でマイノリティを感じる事の重要性

エッセイ

この記事では、取るに足りない人生経験の筆者が海外でマイノリティ(少数派)を体験する事によって感じた事を書いていこうと思います。

そもそもマイノリティとは・・・

Wikipedia によるとマイノリティの意味は、

社会的少数者(しゃかいてきしょうすうしゃ)または社会的少数集団(しゃかいてきしょうすうしゅうだん)、社会的少数派(しゃかいてきしょうすうは)とは、その社会の権力関係において、その属性が少数派に位置する者の立場やその集団を指す。

多くの場合、そのグループの一員であることによって社会的な偏見や差別の対象になったり、少数者の事情を考慮していない社会制度の不備から損失や被害を被ることを前提とした呼称でもある。また「社会的弱者」にも近い概念であるといえる。

日本と言う国は、” 日本人の、日本人による、日本人のための ” 政治によって成り立っている国です。(個人的解釈としてかなりざっくり言っています。)

島国という特性から、単一民族による国家を長きに渡って継続させてきています。
近年のグローバル化によって、海外からの流入はありますが未だ持って9割近くが日本人です。

日本に住んでいる日本人は、日本では圧倒的マジョリティ(社会的多数者)です。

日本人が日本にいる限り、日本人であることで社会的偏見や差別、不利益に見舞われることはありません。
周りが全部日本人ですからね。

筆者に関しても、生まれも育ちも日本、両親は共に日本人、見た目もどの角度から見てのもまごうことなき日本人です。

25歳の時ワーホリで海外に出るまでは、マイノリティとは無縁の世界で生きてきました。

海外でのマイノリティ体験

日本人は日本にいる限りはマジョリティ(多数者)ですが、ひとたび海外に足を踏み出すと途端にマイノリティ(少数者)になります。日本以外で、日本人がマジョリティでいられる国はありません。

ではここで、日本に居たら決して体験する事の出来なかった、筆者の海外でのマイノリティ体験をご紹介していきましょう。

そこはタワービルの上層階にあるレストラン。窓際の席からの眺望が素敵な事で有名なお店でした。
窓際の席に座れるようにランチタイムが始まったと同時にレストランに入りました。窓際の席は、ほぼ空いていました。かしかし、私達(日本人二人連れ)が案内された席は、窓際から遠く離れた出入り口付近でした。
食事も中盤に差しかかった頃に窓際を見てみると、シュッとした欧米人で埋め尽くされていました。

見た目の問題なのか・・・?
アジアンだからか・・・?
筆者が日本人でももっとモデル並みのシュッとした見た目ならどうだったんだ・・・?
英語が下手くそだからか・・・?

モヤモヤが止まりませんでした。

金返せ。

地下鉄の定期券を購入する際、クレジットカード決済で漢字でサインをしたところ、インド系カナディアンの駅員に ” なんだこの字? 漢字か? 俺こんな字見たことねぇからわかんねぇよ ” と言われた。

己の無学をこんなにひけらかしちゃいけません。
その時2度目のワーホリで少々海外にも慣れてきていた筆者は、根拠のない多少の自信があったため、
「 So ? What ?? ! ! 」
と強めに言ってやりました。

様々なところでそのクレジットカードを使っていましたが、どこででも使えてましたので、定期券は問題なく購入出来ました。

カナダのメトロの駅員よ、だったら余計な一言言うんじゃない。

すれ違いざまに、「べー」と下を出される

出典 SNOOPY

これをやられたことは、2~3度あります。

皆舌を細長く出して、「ベー」と言っているように聞こえます。

街中やショッピングモールなどですれ違いざまに見知らぬ人からやられるので、何か意味があるのかと少し調べてみました。

すると、発している言葉は「 BLEAH 」、発音は「ベー」ではなく「ブレー?」。
まずいものを食べたり、ゲロを吐いたり、相手を馬鹿にするときにする行為だそうです。

・・・・・・

良い勉強になりました。

モントリオールに移民した友達の一言

筆者の友人の一人にカナダにワーホリした後、カナダに移民し、現在ケベック州のモントリオールに住んでいる人がいます。
彼女は移民して6年になります。

コロナが世界中で蔓延する中、ある日テレビからこんなニュースが流れてきました。

「コロナが蔓延する中、カナダではアジア出身の住民に対する嫌がらせ行為が増加しています」

これは、コロナが中国から世界に広がったことに起因しており、中国とは関係のないアジア出身者も十把一絡げで嫌がらせをされてしまっているという事実を報じたものでした。

そこで彼女の現状を案じ連絡を取ったところ、彼女はこう言いました。

モントリオール
在住6年
 
 

そうなんだよね・・・
でもそういうのもう慣れてるけどね

この一言を聞いて、筆者ははたと気が付きました。彼女はマイノリティとしてカナダでもう6年間生活しているのだという事。

筆者のマイノリティ体験は2度のワーホリの2年そこそこでの滞在で経験したものです。

滞在期間が長くなればなるほど、ましてやマイノリティとしてその土地で生まれ育ってきた人たちは必然的にこの様な負の体験は多くなってしまうのです。

マイノリティ体験は悪い事ばかりではなかった

海外で体験したこれらのマイノリティ体験は、どれもこれも日本では決してすることが出来ないものです。

当然の事ながら、こう言った事が起こる度に腹が立ち、何も言い返せない自分の弱さを感じたりもします。

自分がマイノリティになる状況になり、そのグループに属しているという理由だけで見ず知らずの人に嫌がらせをされる理不尽さ。

そんな時必ず思う事は、
「私の事を何も知らない人に、そんな事される筋合いない。日本人だからってだけでなんで? 」

たかだかこれっぽちの経験でもこれだけ腹が立つのです。
生まれながらにしてマイノリティとして生まれ、その状況のまま育ってきた人々は、いかほどのものか・・・
生きていくうえで、どれほどの困難があるのだろうか。

ですが、筆者がマイノリティの人達の気持ちを完全に理解する事は不可能です。
なぜならば、日本で圧倒的マジョリティの日本人(見た目も何もかも)として生まれ育ち、これからもこの国で日本人として生きていく(たぶん)からです。

しかし、海外で少しの期間マイノリティとして滞在した経験によって、マイノリティの人々に思いをはせる事だけは出来るようになったと思います。

ワーホリをきっかけに日本から出るまでは、差別なんて目の当たりにしたことなど一度もありませんでした。

2020年アメリカで白人警察官が黒人アメリカ人(無実)を職務中に殺してしまう事態が何度も起きています。これは、アメリカに根強くはびこる黒人差別が招くものだと言われています。

この事態に対する抗議活動が頻発する中、テニスプレーヤーの大坂なおみ選手がとった行動の意味も、そしてその行動をするには計り知れないほどの勇気が必要な事も、マイノリティ体験のない時の自分より、今の自分の方がはるかによく理解できる気がします。

まとめ

日本は人口の9割以上が日本人という世界でも珍しい単一国民による国です。

なので、良くも悪くも人種差別が ほぼ ない、珍しい国です。
故に、我々は人種差別にとても 鈍感 です。

がしかし、 差別 とまではいかないまでも 区別 があるのは事実です。

近年のグローバル化によって国際結婚による国際児(ハーフ・ダブル・ミックスと呼ばれる)、日系2世3世等の帰国などにより、海外からの流入が増加しています。

娘の通う公立小学校にも、欧米系・南米系・アフリカ系・東南アジア系・東方アジア系など両親ともに同じ国出身の子もいれば、ミックスの子もおり、様々な容姿の子供たちが通っています。

娘のクラスもアフリカ系・ブラジル系とクラス25名中3名が国際児です。他のクラスも合わせると学年の約1割が国際児です。

小学1年程度の子供には、へたな知識がまるでないと言う事もあり容姿の違いもすんなり受け入れます。
これってとてもいいなと思います。幼少時から様々な容姿の友達との触れ合いがあれば、大人になってからもそれに違和感を持たずに当たり前な事として生きて行けるのではないかと。

しかし、日本におけるマイノリティの人々が全く生き難い思いをしていないかと言えば、そうではありません。
容姿の違いによって、様々な嫌がらせを受けたという話はこの日本でも度々耳にします。

違いを受け入れる。

みんな同じな方がおかしいっちゃぁおかしい。

マイノリティの人々に思いをはせながら、娘のクラスメートの笑顔が永久に続く事を心から祈ります。